
2017年10月、28歳の秋。
女ふたり、インドを旅した10日間の記録です。
インドビザ、飛行機、宿泊はすべて自分たちで手配。
※ 価格やレートは当時のものです


宿に辿り着けるの?
デリーを一日観光したあと、
夕方の便でバラナシへ。
空港からはプリペイドタクシーを使って、
宿の近く…らしきところまで来たところで、
突然タクシーを降ろされた。
運転手が言う。「He is my friend」
窓の外には、知らない人。
どうやらこの先は車が通れないらしく、
“my friend”とやらに続いて、
牛と人がひしめく狭い路地を歩くしかない。
背中のリュックは20キロ近い。
夜の迷路みたいな路地を、黙々と歩く。
牛をすれすれに避けながら、
苦手な野犬を警戒しながら、
その“my friend”に必死について歩く。
もう少しゆっくり歩いて!
ようやく着いた宿
…と思ったら、まさかの予約されていないって。
「空きはあるから泊まっていいよ」と。
看板には「シヴァゲストハウス」とある。
私たちが予約したのは
「シヴァカシゲストハウス」。
え、“my friend”、間違えたの?って言う頃には、もう姿が見えない。
またあの暗い迷路を…戻るの?
野犬たちの声、濡れた石畳、
牛のフンだらけの小道…
一瞬、ここに泊まってしまおうかと心が揺れる。
でも、旅のはじまりで
妥協したらいけない気がして、
自力で予約した宿を目指すことにした。
スマホはオフライン。
頼れるのは、
ダウンロードしておいたMaps.Meと、
かろうじて見える看板と、
あまり信用してないけど
親切そうに見える現地の人。
ようやく辿り着いた
「Shivakashi Guest House」
受付のお兄さんがとても優しくて、
お部屋も想像以上に快適。
なんと、お湯が出る……!


バラナシと言えば、ガンジス川
夜が明けていくガンジス川を
ボートの上から眺めた。
空が薄紫に染まり、やがて光が差し込んでくる。








想像していたような、火葬した遺体がぷかぷか浮いいる、なんてことはなかったけれど
人々の祈る姿に、確かに生と死が隣り合っている気配を感じた。
ボートを漕ぐおじさんも、水辺に佇む男の子も
カメラを向けると、いい笑顔を返してくれる。
朝から凄まじいエネルギー。
バラナシの路地はトラップだらけ






5時に起きてボートに乗り、
宿に戻って朝食をとったら、散策開始。
道のあちこちに牛、猿、犬、糞。
カラフルな建物と、
壁に描かれた牛乳キャラのグラフィティ。
ここは牛乳屋さんかな?と思いつつ、
賑やかでカオスなバラナシの町を歩く。








リキシャが通れる通りでも、
牛が道を塞いでいたりして
どこも油断できない。
いたるところトラップだらけで、
とにかく色々面白い。
ランチを求めてメインストリートへ






このメインストーリーを挟んで
宿とは反対側のブロックへ。
昨日の夜、私たちはこの道で
タクシーから降ろされたんだな。
賑やかな市場を抜けて
(賑やかさ伝わらない写真だけど)
お昼はインド料理に飽き飽きして
病み始めている友達と
バラナシの日本食「メグカフェ」へ。
野菜たっぷりの生姜焼き丼、美味しかった~!
火葬をもっと近くでみる
午後は再び川沿いへ。
今度は、もう一つの大きな火葬場
「マニカルニカー・ガート」へ。
身分によって火葬の場所が異なるというのが、
なんともインドらしい。
高い身分の人は高台にあって、全然見えない。
身分の低い人は、きっとあれは堤防でもなく、
ただの川岸。
お友達は見てられないとのことで、
中までは入らず。
焼かれる遺体は、白い布にくるまれている。
全部がきちんと覆われているわけではなく、
焼かれていく過程が見えることもある。
近くでは牛や犬がその匂いをかぎに来ていた。



Netflixで見れるインド映画
「 ザ・ホワイトタイガー」で開始10分ほどの映像で、なんとなく焼かれる様子が見れます。
実際に足は出ていることが多く、だんだん力が抜けていくような感じ。
ガンジス川に入ってみた


ガンジス川では野牛も水浴び。
この通りの火葬場で火葬された人たちが、
この川へ灰となって流される。
火葬場から離れた場所で、
私たちもガンジス川に入ってみた。
膝までね。
水はぬるくて、ぬめっとしていて、
なんとも言えない感触。
泳いでみたい気持ちはあったけれど、
まだ旅の途中。
体調を崩したら元も子もないので、
やめておいた。
「ウイルスすら住めないほど汚い」
と言われているけれど、
現地の人たちは
「ここは聖なる川だから、汚いとは言えない」
と言う。
思わず「きたなっ!」と
日本語で声に出してしまったら、
通りすがりのおじさんが真顔でこちらを見た。
言葉が通じていなくても、
何かが伝わった気がした。
世界3大汚い川と言われているらしい。
ウイルスも汚すぎて生きれないらしい。
夜の観光的なセレモニー
夕暮れ時、またガンジス川へ
セレモニーを見に行く。
宿からすぐだからね。すぐそこ。
ボートにも川岸にも
たくさんのインド人観光客。






聞くところによると、このセレモニーは
今はほぼ観光的にやっているもので、
本来のセレモニーは朝に行われるものらしい。
確かに、朝もお祈りしてた。
夕食は韓国人が営んでいるボナカフェで
私はカレー、お友達はスープを飲んだ。
バラナシの記憶は、匂いと、混沌と
祈りに満ちている。
猿が窓から入ってくるというので、
宿の窓にはしっかりと柵が付いていた。
赤ちゃんをさらうというニュースを見たこともある。インドの猿、ほんとに危ない。
焼かれていく人、祈りを捧げる人、
川に入る人。牛も犬も猿も、
ぜんぶがひしめき合って生きている。
もう一度わざわざバラナシを目指すことはないかも。
でも、もしまた旅の途中で近くを通ることがあれば、寄ってみたいとも思う。
ここにはカオスを体験できる特別な空気がある。インドという国の、ある種の縮図のような街だった。
一緒に旅した友達は
「もうバラナシは行きたくない」と言ってるけどね。

